「さむっ!」
扉を開くと冷気が一気に舞いこんできた。
しかし雪はもう降っていなく、太陽がサンサンと輝いていた。
「帰れるかなー?」
「あぁ帰れるな」
手と手をこすり合わせながらなんとかこの寒さについていこうとする。
そのとは反対にもう寒さに慣れたようで、さっきからこの場を行ったり来たりしているのはエース。
「そんな簡単な」
「いや、簡単なんだよ」
へらっと笑うエースをじろりと睨みつける。
昨日は本当に死ぬ思いで帰ろうとしてたのにこんなあっさり帰れると言われても、信じられるわけがないのだ。
「何を根拠に…」
「あれだ」
全くその場を動かないから少し離れた場所で、指をさすエース。
はゆっくりとそちらに向かい、そこから見下ろした。
断崖絶壁とは言わなくても、まるで崖のようになっている見晴らしの良いそこから見えたもの。
それはモビーディック号とこの街の景色だった。
「ああああ!モビーちゃん!!」
「意外と近くまで来てたんだな」
「エース!早く帰ろう!」
「おぉ!」
よし!
と、どちらからともなく手を繋いで下山しようとした。
その時、後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「まったく、何してたんだよい」
「「マルコ!!」」
驚いた2人は同時に振り向き、そして手を放した。
その行動にやれやれ、といった顔をするマルコ。
「まるこー!!!!!」
そんな呆れた顔をしているマルコに、お構いなしで飛びつく。
マルコはそんなの行動に唖然としてしまった。
もちろんエースも。
普段は抱きつかれることはあっても、自分からは抱きつかないのに。
「マルコー!」
「どうしたんだよい」
マルコのお腹のあたりに顔を埋める。
何も言わないの頭をマルコはゆっくりと撫でた。
普段は到底見ることのできない姿である。
「みんな心配してたんだよい」
「ごめんなさーい!」
そんな泣きつくを挟んで向かい合うマルコとエース。
悔しそうに自分を見つめるエースを見て、マルコはまた呆れた顔をして大きなため息をはいた。
「まさか、エースが遭難するとはねぇ」
「…」
エースはその言葉に反応し、マルコを睨みつけた。
「よし…帰るよい」
エースの睨みを無視したマルコはをお姫様抱っこして下山しはじめた。
「ちょっ!マルコ待て!」
エースが急いで追いかけて見るとはマルコの腕の中でスヤスヤと寝息をたてていた。
仲間に会えて安心したのだろう。
「俺がを持つ…」
「なーに子供みたいなこと言ってんだよい。エースも大変だったんだろい?少しは休め。」
チラリと横目で見てみれば、エースはもうマルコを睨んではいなくて。
同様安心したのか半目になって眠たそうにしていた。
「マルコ」
「ん?」
「俺もおんぶして」
「死ね」
姫、安心する。
「まだエースにははやれないよい」
「ど、どーゆーことだよ」
「そうゆうことだよい」