扉を開くとワンルームの部屋の中は空っぽだった。
「誰かいませんかー?いないんですかー?」
「…いねぇようだな。」
暖炉もあるし、毛布まである。
なんのための小屋なのか理解不能である。
「怪しいな…」
怪しんで部屋のすみずみまで見て周るエースと既に腰をおろしている。
そんなを見てやはり限界だったんだな、と悟るエースもまたの隣に腰をおろした。
「ねぇ、エース見て」
「ん?」
見ると壁に張り紙がしてある。
”緊急休憩小屋”
「やっぱりこうやって迷子になった人のための小屋なんだよ」
「…」
は納得したようにしているが、エースはまだ胡散臭いとキョロキョロ部屋を見まわしている。
が、その貼り紙の下の部分に政府の名前とマークが書いてあるのを発見して笑ってしまった。
政府が安全のために建ててくれた小屋を海賊が使ってちゃあ世話ねぇな、と。
だが、これでもう安全が保障されたわけだ。
ここはワナでもなんでもない、の言う通り、遭難した人のための一時避難所。
とりあえず一晩はここで休んで、明日明るくなったら帰ろう。
「エース、やばい限界死んじゃう」
「え!?」
突然、が小さな力のない声でそう言った。
びっくりしてを見ると、いまにも寝てしまいそうな顔をしていた。
死ぬ、というのは寝てしまう、ということだろう。
「ちょ、待て、寒いだろ」
エースは組んである薪を暖炉に放り込んで火をつけた。
慌てて自分の能力で火をつけたため、火事一歩手前という程の火力だったが、一気に部屋が暖かくなった。
そして毛布でをくるむ。
「これで寒くないだろ?」
「…いやまだ寒いけど」
エース的には十分暖かくなってきているのだが…
もう目もほとんど開かない状態で答えたの頬を触ってみた。
「つめてっ!」
まさか、と思いエースは毛布からを出し、手袋を急いで外すと指先を触った。
「氷か!!!」
そう思うほどの体全体が冷たくなっていた。
「、待て寝るな!」
「…まだ寝てないよおー」
目を閉じたまま答えたを揺さぶり起こす。
「待て待て待てまじで死ぬぞ」
「大丈夫、エースがいるー」
自分を頼ってくれている発言がの口から咄嗟に出た。
それに対して一瞬エースの顔が緩んだが今は本当にそれどころじゃない。
どうしたものかと考えるもその隙にが寝てしまいそうになるからエースは意を決して大胆な行動にでる。
ゆるせ、。
エースはの着ている厚ぼったい服をできるだけ脱がし、抱きしめて自分の体温を送った。
「冷てぇ…」
見るともうは落ちてしまったようで規則正しい寝息をたてている。
そんなのおでこと頬にキスを落とし、エースもを抱えたまま眠りに落ちた。
姫、寝る。
なんか、とてもあったかい…
エース、おやすみなさい。