「え、エース?」
ふと目を開けるとそこはとてもとてもきれいな。
雪山の続きがありました。
「大丈夫?」
「ん、あァ…大丈夫だ」
を抱え込むようにして尻もちをついたエース。
しばらくの間動かないもんだからは心配になってエースの顔を覗いた。
すると自分に言い聞かせるかのように大丈夫と言い、笑顔を見せるエースがいた。
その笑顔に安心して、はまたエースの首に抱きついた。
「ラパーン、来なくなったね」
「おぉ」
「よかったね」
「あぁ」
「エースが無事で」
「…!」
その格好との言葉にエースはもう痛さなんて忘れてしまっていた。
「、心配してくれてありがとな」
「…ちがうよ、がありがとうしなきゃいけないんだよ。あと…ごめんね。」
の頭を撫でると目に涙をためた顔をこっちに向けた。
「泣くな、ほら周りみてみ」
いまにもこぼれだしそうな涙を指で拭ってやると、はやっと目線をエースから辺りへと変えた。
「わぁ!」
銀世界。
まさにその言葉がぴったりと当てはまるような場所にたちはいた。
誰にも汚されてない、どこまでも広がる雪の絨毯(じゅうたん)。
先程とは打って変わって、木の1本もない見晴らしの良い場所だ。
「エース!綺麗だね!!」
は立ち上り、その絨毯に足跡をつける。
「そうだな」
エースもゆっくりと立ち上って大きく深呼吸した。
しかしあまりにも冷たい空気が肺に入り込んできたため、むせたエースをが笑う。
そんな幸せな時間ももう残りわずか。
「ねぇ…エース」
「あぁ、気づいたか?」
そう、辺りはもう既に暗くなりつつあったのだ。
太陽が見えなかったのはどうも森の中だからというわけではなかったらしい。
冬島の日は短いのだ。
「か、帰れるかなあ?」
「行けるとこまで行ってみるか」
出発したのが確か14時か15時くらい。
ということは今は17時、18時…いや、ハプニングもあったからそれ以降の時間かもしれない。
エースは頭の中で計算した。
「と、とりあえず登ってきたから下ってみようか」
「…だな」
エースはしっかりとの手を握る。
また、もそれにしっかりと応えた。
迷子になりませんように。
2人がほぼ同時にそう心の中で願った。
しかし、その願いも空しく、真っ暗になった雪道はだいぶ険しい道のりとなっていた。
「、大丈夫か?」
「う、うん」
粉雪まで舞ってきた気温は体感温度にするとマイナスになるんじゃないだろうか。
さすがのエースでも少し寒いと感じるようになったのだから、きっとはそれ以上に寒いと感じているのであろう。
「、休むか?」
「ううん。急ごう」
「あぁ」
急ぐといっても足元の悪い道にの体力も限界。
そろそろ本気で休むところを見つけようとエースが考えていた時。
「エース、あれ、見える?」
「ん?」
に言われて目を細めてみると、うっすらと家のようなものが見えることに気がついた。
「小屋だよ!」
「小屋、ねぇ」
まるで映画や本の中の話でもあるまいし。
エースはその胡散臭い小屋を睨んだ。
しかし睨んだからと言っての体力が回復するわけでもない。
「行ってみるか」
「うん!」
2人はゆっくりその小屋まで歩いた。
姫、がんばる。
「誰かいませんかー?」
「おぃ、空いてるぞ」
「え!」