一緒に寝るだなんて言わなきゃよかった。
けど彼女に怖い思いをさせるのもイヤだった。
何か他にいい方法はあったんじゃないか、そう考えることで理性を保った。
「暑いね。」
「…だな。」
狭いベッドに彼女と2人。
必然的にくっつく体がいつもより熱い気がするのは気のせいだろうか。
俺はとにかく天井をずっと見上げたままの状態でいるのが精いっぱいだった。
「エース、」
「ん?」
「ありがとね。」
「あぁ。」
「暑いのにごめんね。」
「いや、」
眠いと言っていた彼女が寝るのは時間の問題かと思っていた。
それはどうやら違っていたようで、彼女がさっきから話しかけてくる。
そうしてくれたほうがありがたいが、彼女は俺の方を向いているらしく、息が腕に当たってこそばゆい。
「寝ないのか?」
「なんかエースと同じベッドにいるって考えたら眠れなくて…。」
今日の彼女は積極的だな、なんて思うくらい発言がおかしい。
意識してるのか、してないのか。
もちろんはきっと後者だ。
ただ、思った事を素直に口にしているのだ。
「エースは寝ないの?」
「…あぁ。」
寝れるわけがなかった。
好きな女が横にいるドキドキ感と欲望に押しつぶされそうになっているから。
まぁ変な話、俺の息子はとても元気になっておられるのだ。
腹の部分だけ布団をかけてるからバレないだろうけど、どうもおさまってくれない。
「なんで寝ないの?」
の声はさっきから消え入りそうなくらい小さかった。
それがまたとても可愛らしくてたまらないのだが、きっと彼女は寝れないんじゃなくて寝ないんだろうなと思った。
「が寝たらオレも寝る。」
きっとは俺を心配してんだろーな。
自分がいて邪魔になってないだろうか、なんて。
「そっか、じゃあ寝るね。おやすみ。」
「おやすみ。」
コツンと肩にの頭があたった。
少しビックリしてそちらを見るとそれに気付いたのかがふいに顔を上げた。
眠くてトロンと溶けた目に汗ばんだ額、ほんのり口は開いていた。
「…」
名前を呼んでも彼女は返事もせずに黙っている。
そんな顔で見んな。
そんな顔してると。
「好きだ…」
軽く口にキスをした。
するとはにっこりとほほ笑んで眠ってしまった。
夢か、幻か。
そう思ってるのかもしれない。
それでもせずにはいられなかった。
「マジで頭冷やしてこよ。」
頭をかきむしって、俺はキッチンに向かった。
姫、眠る。
「おう、どうしたエース」
「水くれ、水」